注意:このページは「複利」を簡単に説明することが目的ですので、現実の金融システムに沿っていないこともあると思いますが(月割りや日割り計算は載せてない、金利は一定と考えていることなど)、さらに詳しくは他の情報などを併せてチェックすることをオススメします。このページを参考にしたことから不利益を被ったなどといったことに関する責任は負いかねます。このことに了承される場合のみ閲覧下さい。

複利

アインシュタインが「人類最大の発明」と言ったと言われる「複利」という考え方、(今日の金融システムでは基本的な考え方なのだと思いますが)について、具体例で考えてみたいと思います。
具体例として銀行にお金を預け入れる場合を考えてもいいとは思いますが、ここでは、自分に痛みが伴う借金を例に挙げてみたいと思います。 借金額が時間を経る毎にどのように変化するのかは、等比級数、等差級数といった高校数学で学習する事柄を用いて表すことが出来ます。年配の方から「我々の頃はほとんど金利を払っていたようなモノだ」などという話を伺うことがあります。昨今の低金利の状況と以前との違いを大雑把にでも把握するには、リンクは有効かもしれません。 なお、金融機関などが提供するローンの金利を説明するページなどは多々あります。しかし中には実際には複利であるにもかかわらず単利のように説明するページなどが散見されます(具体例を示すことは控えますが)。読み手側には、情報リテラシーに加え金融の基礎知識に関するリテラシーが問われている気もします。このようなことも、このページをつくるきっかけでした。

数式を用いた説明

返済無しとした場合

まず最初の例としては、実際の例としては余り考えられないかもしれませんが、簡単化のため、借金後返済していかない場合に、借金がどのように増えていくのか考えて見ましょう。
借入額:\(x_0\)
年利率(%、ここでは一定とします):\(\alpha\)
借入時から経過した年数:\(n\)
とします。借り入れから\(n\)年後における、利子分も含めた借金額を\(x_n\)と表すと、以下の関係式が成り立ちます。 \[ x_n = x_{n-1} + x_{n-1} \times 0.01\alpha \] この式は、新しい借金額が、もともとの借金額とそれに利子分を加えた額になる、ということを表しています。 利子には、以前の借金額と利子が含まれています。 つまり、利子に利子が付く、というのが「複利」という考え方で、上式で複利が含まれています。これを変形すると \[ x_n = x_{n-1} \times (1 + 0.01\alpha ) \tag{1} \label{eq:1} \] これより、\(x_n\)が等比級数であることが分かりますね。\(x_{n-1}\)と\(x_{n-2}\)の関係式も同様、 つまり \( x_{n-1} = x_{n-2} \times (1 + 0.01\alpha ) \) です。\(x_{n-2}\)と\(x_{n-3}\)の関係式も同様なので、 それらを上式に繰り返して代入すれば、一般的な表式として \[ \underline{x_n = x_0 (1 + 0.01\alpha )^n} \] を得ます。この式が、借金が指数関数的に増えていくことを表しています。
補足:ちなみに、利子が「単利」の場合には、利子に利子が付くことはないので、級数の関係式および一般的な式として、それぞれ \[ x_n = x_{n-1} + x_0 \times 0.01\alpha \quad \Longrightarrow \quad x_n = x_0 + n ( 0.01 \alpha x_0 ) \] と、等差数列の関係が成り立ちます。

返済していった場合

すこし具体的な状況として、一定額を返済していく場合につてい考えてみたいとおもいます。この場合、上で現れた級数の等式はどのように変換するでしょうか。
毎年の返済額:\(r\)
とします。簡単のために、返済は毎年一定額、かつ、一年ごと(利子の付くタイミングと同じとき)に行うとします。このとき、 \[ x_n = x_{n-1} + x_{n-1} \times 0.01\alpha - r \tag{2} \label{eq:2} \] の関係式が成り立ちます。この場合も、一般解を求めることが出来ますが、皆さん導出に挑戦してみて下さいね。結果だけを記しておきましょう。 \[ \underline{x_n = x_0 (1 + 0.01 \alpha)^n - r \frac{ (1 + 0.01 \alpha)^n - 1 }{0.01\alpha}} \]

グラフを用いた具体例

次に、具体例として、 借入額:2000万円
年利率:3%
毎年返済額:100万円
とした場合の推移の様子を、上で表した数列\eqref{eq:1}, \eqref{eq:2}を数値的に解いて得られたグラフで見てみたいと思います。 当初の借入金に対し、最終的な返済総額が利子の分だけ上回っていますね。
他の場合を試したい場合はこちらをどうぞ。

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