個人の頁(横山 寿敏)


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  ----- 雑感 -----
* ネットの目的は何?
 同志社大で開かれた物理学会でのこと、ネットが使えるとのことだったので、
会期中に東北大などの空いた計算機にジョブを流すため、出発前の慌ただしい時に
時間を割いていろいろジョブを作ったのであった。さて、同志社での学会二日目、
そろそろ前のジョブが終わった頃合いなので、計算機画面の前に座って、学外へ
ssh しようとした。ところが、学外のいずれのアドレスへもアクセスが拒否されて
しまい、接続ができない。ウェブだけはプロキシを通して、学外へアクセス
できるのだが。仕方なく、計算機室のスタッフに尋ねたところ、同志社内に
ログインできるアカウントを持っていれば、学外への ssh(telnet) が可能だが、
そうでなければセキュリティの関係で、学外への ssh は出来ないとのこと。
無線 LAN のパソコンがあれば telnet できると教えられたけれど、今回は
パソコンは持って来なかったし、同志社にはアカウントを貸してくれる友人も居
ない。結局仕込んでおいたジョブは仙台に戻ってから流す羽目になってしまった。
 ちょっと悄気て、共同研究者のK氏に事情を話したところ、驚いたことに、
K氏の大学(私学)では大学からの命令で、今春から学外へのアクセスはウェブを
除いて全面的に禁止され、ウェブ以外でどうしてもネットの使用が必要な人は、
個人的に ADSL などを引いて使用するように、ということになったそうである。
既に幾つもの裁判で、ネット事故に対し膨大な損害賠償額が言い渡されたそうで、
大学はそうした危険を未然に防ぎたいということらしい。
 ウェブの急速な発達によって、本来のネットの目的が阻害されるという本末
転倒した状況が、当然になりつつあるらしい。急速な社会変化に遅れを取っている
自分を痛感させられる出来事であった。

* 長寿の島
この夏は全く休暇を取らなかったので、物理学会後休みを貰って、長寿で
有名な、とある南の島に出掛けた。宿は管理人も居らず、偶々他の泊まり客も
居なかったので、貸別荘のような状態になった。最初の日の夕暮れ、レンタカー
で「貸別荘」に向かい、貸別荘のある小さな集落まで来たは良いが、貸別荘の
所在がよく解らない。それで、道端でひっくり返したプラスチックのビールの
ケースを椅子にして座っていた年老いたオジーに「海の家(貸別荘の名)は何処
ですか」と尋ねた。オジー曰く「ボクは97歳で耳が遠いから大きい声で」との
ことなので、失礼ながらかなり大声で繰り返したが未だ聞き取れない。オジーが
「もっと大きく」というので、妻と二人で怒鳴り声で「海の家」と言ったら、
「海?」との返答。こりゃ駄目だと思い、オジーには頭を下げて、車を降りて
間近にあった古ぼけた「よろず屋」に行って尋ねることにした。店の入り口に
オバーが一人立っていたので、同じことをオバーに尋ねたが、全く返答がない。
大きめの声で繰り返したが、さらに返答がない。後で、車に残した妻から聞いた
ことだが、オジー曰く「アレはボクより4つ上で101歳だから、アレに聞いても
駄目だ」。仕方なく店のもう一人のオバーに聞いた。こちらはもう少し若そう
だが、こちらも答えてくれない。幸い、若い(と言っても60は越えている)客
が来て、親切に教えてくれた。「海の家」は目と鼻の先であった。夜、周辺に
明かりは皆無。月が沈むと鼻を摘まれるまで分からぬような闇夜で満天の星空。
双眼鏡で銀河を覗くと、それが星の集団であることが判るくらいウジャウジャと
星が見えた。ケプラーやガリレオの時代はこうだったのかと妙に納得したので
あった。地上では、処々に蛍とおぼしき虫が点滅し、大きなヤドカリがごそごそ。
 三夜を海の家で過ごして帰仙する日、よろずやの前を通ると三日前のように、
フクギの木陰のビールケースにオジーが座り、よろずやのオバーも店に居た。
ここでは、こうして百年が過ぎて行くのだなと思った。



 最終更新日: 2005 年 10 月 3 日