研究室紹介

物性理論研究室教員

教授:石原 純夫、川勝 年洋、齋藤 理一郎
准教授:内田 就也、是常 隆、柴田 尚和
助教:泉田 渉、大槻 純也、中島 龍也、Ahmad Ridwan Tresna Nugraha、村島 隆浩、横山 寿敏

研究室の目指すもの、及び研究環境

物性理論グループは、様々な物質の興味深い性質を理論的に解明する研究を行っている。 以下に我々の研究室のめざすものと研究環境について紹介する。

物性理論の目的: 固体や液体は原子や分子が相互作用によって凝縮した系である。物性理論の目 的は個々の凝縮系の興味ある性質を研究し、普遍的な物理的性質(物性)を深 く理解することにある。具体的な目標として、(1) 未解決の現象を解明、(2) 物性の予言と新機能物質の設計、(3) 厳密解などによる数理的普遍性の探求が ある。

物性理論の対象: 対象となる凝縮系とは、物質を構成する原子や分子、さらに電子やスピンが1023 個程度集まった系である。 凝縮系の例として、固体や液体、 また強相関電子系や量子スピン系がある。また凝縮系の特異な現象として、 例えば超伝導や量子ホール効果がある。物性理論の醍醐味は、凝縮系の秩序 状態や集団運動を、あらたな物理量を定義することで明快に記述することである。 このような記述が可能なのは、粒子間の相互作用が階層的な大きさで存在する ことによる。対象となる物質は、結晶、準結晶、非晶質と「結合形態」で分類でき、 またナノ構造やソフトマテリアルでのメソスケール構造など「次元性と形」 で分類することが可能である。近年分類される物質の範疇は大幅に拡大している。 とくに計算機の進歩ともに、従来物理で考えられなかった、他の科学との「境界領域」 が物性理論の対象となった。複雑系、非平衡、非線形、非局所相互作用、 生体系がこの例である。物理的な手法を新領域に応用する意義は大きい。このように、 物性理論の対象は実に多岐にわたる。本グループには、アクティブに研究を展開する 若い教官が多く、研究の手法と対象の多くをカバーする。さらに異なる手法をもつ 研究者間の交流が、新しい対象と手法を生む。

物性理論の方法: 電子や原子核などのミクロな構成要素の運動を規定する量子力学と、 これらの粒子の集団的挙動に関する法則を与える統計力学を2本の柱として用いる。 解析的な研究手法の他に、計算機と計算手法の飛躍的進歩により、 第一原理計算や経路積分の方法などを用いる研究方法が発展した。量子力学と統計力学の 問題を直接数値計算で解明する計算物理学的手法も本グループでは活発に行われている。

研究環境: 大学院での教育・研究は、物性理論研究室の教官と院生との個別的な指導と協力 により行われている。個々の問題に深く取り組むとともに、複数の教官で小グループを 組織し、セミナーを行う。また物性理論グループ全体でも、コロキウム、共通計算機の 利用、また懇親会など、幅広い交流がある。この結果、基礎的な物理をいろいろな視点 から学ぶことができる。特に物性理論交流室では、くつろいだ雰囲気の中で指導教官でない 教官とも自由に議論がおこなわれている。学生は、この交流を積極的に利用することで 広い視野を持つことができる。 粒子間の多くの相互作用が階層的に存在することによって興味深い物性が発生するように、 多彩で柔軟な教育環境(指導教官、小グループ、物性理論全体)は、特筆すべき効果が 期待できる。本グループの研究・教育環境は物理学専攻内でも特徴的といえる。 さらに、外国人のビジターなどを通じて語学力の向上や異文化の理解、 さらに国際的な視点を学ぶことが可能である。

本グループは、物性理論研究グループとしては質・量ともに国内外で最大級である。 大学院生には、この利点を最大限に生かしてもらいたい。個々の教官の研究テーマ を以下に掲げる。これから物性理論の研究を志望する諸君には、物理学に新しい貢 献をもたらす最先端の研究をめざすと同時に、基礎的な物理の知識も広く学ぶこと を希望したい。

各教員の研究テーマ

石原純夫
 強相関電子系の理論。特に遷移金属化合物におけるスピン・電荷・軌道量子複合流体、 巨大磁気・電気・光学応答、電子相関と電子-格子相互作用などの理論。
川勝年洋
 高分子や界面活性剤等のソフトマテリアルにおけるメソスケール構造とその動力 学の理論とシミュレーション。
齋藤理一郎
 固体物理、半導体物性。特にカーボンナノチューブの電子状態、共鳴ラマン分光、 計算物理、電子格子相互作用、ナノ構造、量子効果、量子伝導。
内田就也
 ソフトマテリアルの統計物理、特に複合系や境界を持つ系の相転移に関連したパターン形成、 非局所的相互作用とダイナミクス。
是常隆
 第一原理計算に基づく物性解明と物質設計を目指した研究。特に電子格子相互作用やスピン軌道相互作用が絡む物性。超伝導、磁性、異常ホール効果など。  
柴田尚和
 低次元強相関電子系の理論。スピン液体、電荷ストライプ、量子固体など、強相関電子系の多彩な電子状態の数値的研究。
泉田 渉
 カーボンナノチューブや量子ドット等微細加工系の電子状態、電気伝導、NEMS、電子相関。
大槻 純也
 強相関電子系、特に重い電子系の磁性や動力学。
中島 龍也
 半導体における低次元電子系の理論的研究。特に量子ホール効果。
Ahmad Ridwan Tresna Nugraha
 カーボンナノチューブとグラフェンのコヒーレントフォノン分光。
村島隆浩
 高分子物理。ソフトマターの多階層連携計算。
横山寿敏
 強い電子間相互作用が物性を支配する系の理論的研究。高温超伝導体、重い電子系、 分数量子ホール系など。
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