スクッテルダイト若手夏の学校

講師・講義

講師（所属）	講義題目（講義内容）	講義概要	講義内容募集
井澤公一（CEA-Grenoble）	「輸送係数でみる異方的超伝導体 --ギャップ対称性の研究を中心として--」	PDF	▼
荻田典男（広大総合科）	「ラマン散乱による籠状構造結晶の格子振動」	PDF	▼
菊地淳（明治大理工）	「NMRで見るf電子化合物の多極子秩序 --何を，どのように見ているのか？--」	PDF	▼
楠瀬博明（東北大理）	「強相関電子系におけるフェルミ液体論と近藤効果」	PDF	▼
久保勝規（原研先端研）	「多極子秩序の微視的理論」	PDF	▼
桑原慶太郎（首都大理工）	「中性子散乱実験について」	PDF	▼
椎名亮輔（首都大理工）	「ｆ電子系の相転移：多重極モーメント、対称性、揺らぎ」	PDF	▼
菅原仁（徳島大総合）	「充填スクッテルダイト化合物の基礎」	PDF	▼
田山孝（東大物性研）	「極低温磁化測定および結晶場解析」	PDF	▼
根本祐一（新潟大自然）	「超音波による四極子感受率と強相関量子系の多彩な物性」	PDF	▼
播磨尚朝（神戸大理）	「バンド計算計算の基礎とフェルミ面や結晶場」		▼
松村武（東北大理）	「共鳴X線散乱：f電子系化合物における多極子秩序の観測」	PDF	▼
與儀護（琉球大理）	「超伝導体のNMR/NQR」	PDF	▼

講義内容募集

講師の方々に講義およびテキスト作成をしていただくにあたり，皆さんから疑問点を募集します．集められた意見を講師の方に伝え，参考にしていただきます．講義に関する希望を，下記までメールでお寄せください．
宛先： otsuki[at]cmpt.phys.tohoku.ac.jp （[at]を@に置き換えてください．）
題名：夏の学校講義内容募集
テキスト作成の都合上，６月中にお願いします．締め切りました．

以下は，これまで集められた意見です．

井澤公一（CEA-Grenoble）
- 輸送現象
  - 熱伝導度、ホール係数等の輸送特性から分かること
  - データの解釈方法
- 異方的超伝導
  - 超伝導ギャップの対称性の測定法
  - "point node"や"line node"がある場合に比熱などの物理量がどのように振舞うか？
荻田典男（広大総合科）
- ラマン散乱
  - ラマン散乱から分かること
  - フォノンの種類とそれに起因するラマンシフト
  - ラマンスペクトルで見る結晶場準位
  - カゴ構造を持つ物質群のフォノンとそれに起因する物性
  - ラトリングについて、いくつかの測定手段から得られることを総合的に見て、ラトリングの実体がイメージできるようにして頂ければありがたいです。
菊地淳（明治大理工）
- NMR,NQR
  - NMR,NQRと多極子秩序（四極子，八極子の影響）
  - フェルミ液体的振る舞い
  - 超微細相互作用について。
  - 実験手法、実験データの解釈等基礎的な部分
楠瀬博明（東北大理）
- 重い電子系の理論
  - フェルミ液体・非フェルミ液体
  - Kadowaki-Woods則への軌道縮退の効果の定性的理解
  - f電子系における重い電子の起源
- 近藤効果
  - 四極子近藤効果って？実験的にどのように観測したら良いの？
  - quadrupolar Kondoについて（スクッテルダイト系における可能性）
  - 四極子近藤効果を含む近藤効果について、スクッテルダイトとの関係に
  - 高濃度近藤効果、価数揺動ついて、
- ReFe₄Sb₁₂系化合物における比熱の磁気的ゆらぎの効果
- 動的平均場とその拡張に関して
- 4f複数系における4f軌道の取り扱い（マルチチャンネル）の際に用いる近似法の紹介とその妥当性。
- 理論屋から実験屋に対して”この実験をして欲しい（無理でも良いから）”というリクエスト。（この物理量が分かればもっと、スクッテルダイト系の物性起源が明らかになるかも、という理論屋の意見。）
- 特定の物質を念頭においた現実的なモデルの作り方、構想のしかた
久保勝規（原研先端研）
- 多極子秩序
  - 磁気八極子秩序と物理量
  - 多極子相互作用の微視的起源
  - RKKY相互作用，超交換相互作用，d-fクーロン相互作用，直接交換相互作用などについて
  - 様々な多極子相互作用の機構と，それらが実際に結晶構造・軌道縮退・結晶場などによってどのように変化するのか？
  - 八極子秩序はどのような実験手段のいかなる測定結果により確認することができるのか？
  - 多極子秩序状態の物理量に対するドメインの影響．単一ドメインにするにはどうしたらよいのか？
  - 私が現在疑問に思っているのは、多極子間相互作用のエネルギースケーについてです。　空間的な減衰が大きい多極子のポテンシャル項が　電子によるクーロン相互作用の遮蔽効果の影響を受けながらも、　数オングストーム離れた多極子と相互作用すると考えたとき　その大きさは本当に小さいと思います。　しかし実際には、YbAl3C3では80Kという高温で四極子秩序が発現してると考えられており、　このエネルギースケールの違いに、私は疑問を感じています。　理論的な説明として、対称性が同じ多極子と伝導電子がカップリングして隣接する多極子に　相互作用が生まれると教わりましたが、それだけでは上記の疑問は解決できません。　久保勝規先生に、理論的に見積もられる多極子間相互作用のエネルギースケールを　実際的な例を用いて、どのように計算し、どれぐらいの大きさになるか　また何が多極子秩序転移温度の大きさ決める要因になっているのかを簡単に説明してほしいです。　よろしくお願いします。
- f電子系の超伝導
- 理論屋から実験屋に対して”この実験をして欲しい（無理でも良いから）”というリクエスト。（この物理量が分かればもっと、スクッテルダイト系の物性起源が明らかになるかも、という理論屋の意見。）
桑原慶太郎（首都大理工）
- 中性子散乱
  - 中性子散乱で分かること
  - 長所、短所
  - 中性子散乱で見る結晶場準位
  - 中性子散乱と多極子秩序
  - フォノンと電子物性
  - ラトリングについて、いくつかの測定手段から得られることを総合的に見て、ラトリングの実体がイメージできるようにして頂ければありがたいです。
  - 中性子非弾性散乱で観測できるスペクトルのエネルギースケール
  - 非弾性散乱で，フォノンの寄与と磁気励起をどのように見分けるのか？
  - スピン波などの素励起がどのように見えるのか？
  - "time-of-flight"とは，どのような手法なのか？何が分かるのか？
  - 中性子散乱実験の結果からフォノンの性質をどう読み取るか
  - 中性子散乱によってどのように磁気構造を決めていくのか
  - 偏極中性子散乱とはどういうものか
椎名亮輔（首都大理工）
- 結晶場
  - Γになれるための秘訣
  - 非クラマース二重項って
  - 磁場中でのエネルギーレベルの変化
  - 結晶場状態からその状態がもつ多極子自由度がどのようにわかるのか
- 長距離秩序
  - 多極子ハミルトニアンの構成の仕方（どういう項は許されて、どのような項は許されないのか？　群論的な考え方）
  - 平均場理論
  - 様々な方向に磁場をかけた時にどの秩序変数が誘起されるか　＆　秩序変数の分類がどう変わるか
  - 四重極秩序と判定されるには、何が見えればよいのか？　構造相転移とどう異なるのか、区別する方法があるのか？　また、f電子の状態が縮退していて秩序化により分裂するのか、　すでに分裂していて最低順位に落ち込むだけなのか？　（前者は構造相転移と区別できるかが疑問であり、後者は相転移でない）
  - 多極子秩序のタイプと結晶構造の対応
- 結晶場と電子の結合のしかた(対称性から重要になる項や消える項などの区別のしかたなど)
- 応用的な話
  - 平均場からの揺らぎ
  - 近藤効果等
- 理論屋から実験屋に対して”この実験をして欲しい（無理でも良いから）”というリクエスト。（この物理量が分かればもっと、スクッテルダイト系の物性起源が明らかになるかも、という理論屋の意見。）
菅原仁（徳島大総合）
- 結晶作成関連
  - high qualityな単結晶を育成する秘訣
  - 結晶の純度が及ぼす各物性（超伝導・四極子等）への影響
  - 試料の不純物除去方法と注意点について
  - より純度の高い、ＦＺ法による単結晶育成について
  - ＦＺ法で単結晶が育成できるスクッテルダイトにどのようなものがあるのか
  - 結晶作成から大きな単結晶育成までの注意点や技術
  - FZ法だけにかぎらない結晶育成のノウハウ
- dHvAからみたスクッテルダイトの電子状態
- スクッテルダイト化合物のレビュー
  - スクッテルダイト化合物には構成元素が異なる化合物があります。特有と共通の性質とを分けてして講義して頂けるとありがたいです。
田山孝（東大物性研）
- 極低温磁化・比熱の測定方法
  - 磁化・比熱の実験手法と解析について詳しく
- 磁化・比熱の温度・磁場依存性と結晶場準位
  - 比熱や磁化の測定結果から見積もられる結晶場は、中性子から得られる結果とどの程度整合性がとれるのか？また、異なる結果が得られるのは、どのような場合か？
  - 結晶場のレベルクロスはなぜ起こるのか？またそれはどのような物性測定により観測できるのか?
- スクッテルダイト化合物の磁化・比熱・結晶場
根本祐一（新潟大自然）
- 超音波
  - いわゆる通常の弾性定数の振る舞いとは？
  - どのような機構で四重極感受率が観測されるのか
  - ソフト化とは何を意味するのか？
  - 超音波のエネルギースケール
  - 格子からくる寄与と電子からくる寄与の区別
- ラットリング
  - 弾性定数への影響
  - ラットリングの意味と物性に与える影響について分かりやすく知りたい。
  - ラトリングについて、いくつかの測定手段から得られることを総合的に見て、ラトリングの実体がイメージできるようにして頂ければありがたいです。
  - ラットリングは本当に起こっているのか？理論的にどの様な時に起きやすいのか。
播磨尚朝（神戸大理）
- バンド計算とフェルミ面
  - フェルミ面から分かる物性
  - 通常の金属とスクッテルダイト、強相関電子系のフェルミ面の比較
  - f電子を局在させたバンド計算と，遍歴させたバンド計算とは具体的になにをやっているのか
  - バンド計算に対するUの効果．LDA+Uとは？
  - 心に残るフェルミ面
  - バンド計算に電子相関の効果はどこまで取り入れられているのか
- Th対称性による結晶場（THY論文の解説）
- ネスティングが起こるとどうなるのか。
松村武（東北大理）
- 共鳴X線散乱
  - 原理
  - 長所、短所
  - RXSから分かること，RXSからしか分からないこと
  - アジマス角依存性から何がわかるのか
  - 電気四極子，磁気八極子秩序の直接的あるいは間接的観測
  - これまで共鳴X線散乱によって明らかにされた秩序の具体例
  - E1,E2,M1遷移などの相対強度が，物質によってどのように変わるのか？どの遷移によって，どのような秩序を観測することができるのか？
- 電気四重極モーメントと弾性定数についての基礎的なことについて話を聞きたいです。歪みの表現など。
與儀護（琉球大理）
- NMR,NQR
  - 超伝導状態の1/T1の温度依存性(s波,d波,p波,・・・)
    →超伝導ギャップの求め方
  - 超伝導状態のナイトシフト(SingletとTriplet)
  - PrOs4Sb12のNMR/NQR実験の現状
    →スクッテルダイトの特異性・超伝導転移に伴うNQRスペクトルと緩和時間の変化
  - ＮＭＲでの緩和曲線と、ＮＱＲで計測した結果と同じになりますか？ＮＭＲは静磁場があるので、1/T1を解析する前は違うような振舞になっていると思います。どうですか？
  - 超微細相互作用について。